【評価S】『コーヒートーク1・2』、クリアレビュー 。静かな夜に寄り添う、心をほぐす一杯のはなし

コーヒートーク・コーヒートークエピソード2(便宜上、以下コーヒートーク1・2と記載)について記載します。
本作のストーリーに迫るようなネタバレはありませんが、以下、公式サイトで記載されているゲームのシステム部分や全体的な構成について触れています。まっさらなお気持ちでプレイしたいという方は、どうぞご注意ください。

目次

採点及び評価

【神作】コーヒートーク1・2、平均は96.3 【評価S】

ゲームレビュー採点基準について

※詳しい採点基準についてはこちらをご覧ください。本作は「ストーリー」「システム」「グラフィック」「音楽」などの観点から総合的に評価し、平均96.3点(評価S)としました。


本作を一言で表すなら、心がじんわりと温まり、愛に満ちた作品です。

本作には世界を脅かすような天変地異や、非日常的なドラマティックな出来事は起こりません。

夜ひそやかに営業しているカフェを舞台に繰り広げられる、どこかで起こっている人間ドラマです。

それでも、深く、心に残っていく。

さまざまな”愛”と対話が紡がれる、大人のためのビジュアルノベルです。

ゲーム概要について

画像出典・任天堂公式サイト コーヒートークより

心と心をかよわせる、
一杯のコーヒーからはじまるストーリー


『コーヒートーク』は、訪れる人々との会話を楽しみ、彼らの人生をかえるきっかけとなる、一杯のあたたかいコーヒーを提供する癒やしのゲームです。

あなたの店に訪れる、様々な事情をもつ登場人物たちに飲み物を提供して、彼らの持つ物語に耳を傾けてみましょう。

私たちが知っている世界とはちょっと異なる現代のシアトル。そこには人間以外にエルフやオークに人魚・・・。そして他の多くのファンタジー世界に登場する種族が一緒に暮らしています。プレイヤーは夜だけ営業している喫茶店『コーヒートーク』のマスターを演じます。

このゲームでは、人種的ステレオタイプや偏見など、文化の多様性を描く際に直面せざるをえない問題を「ファンタジー」という設定で表現しています。

エルフとサキュバスのドラマチックなラブストーリーから、人間を理解しようと試みる宇宙人、人狼と吸血鬼のコンビなど多様な別世界のシアトルの住人達の物語に入り込めば、同じような悩みを持つ私たちは、きっと彼らの世界に大いに共感できることでしょう。

任天堂公式サイトより引用

コーヒートークとは?

映像出典:Chorus Worldwide Games公式チャンネル
タイトルコーヒートーク
コーヒートーク エピソード2     
メーカーコーラス・ワールドワイド
ジャンルアドベンチャー
発売日コーヒートーク・2020年1月30日
コーヒートークエピソード2・2023年4月20日
プラットフォームswitch/PS4/PS5(エピソード2)/steam
価格パッケージ版
コーヒートーク 3,980円(税込)
コーヒートーク エピソード2 3,980円(税込)
DL版 
コーヒートーク 1,600円(税込)
コーヒートーク エピソード2 1,980円(税込)
CEROB

コーヒートーク1・2ともに、一日区切りで物語は進みます。一日は15分程度なので、眠る前のリラックスタイムなど、ふとした息抜きにゲームがしたい人、また、短時間で気分転換がしたい人もおすすめできるゲームです。

システムはオートでの文字送り、セーブを任意で行うことが出来ます。ユーザーの事を考えられていると感じました。

本作の魅力について

1.カフェという癒しの空間で紡がれる、日常とドラマ

画像出典・任天堂公式サイト コーヒートークより


コーヒートークの舞台は、架空の街シアトルにある深夜営業の小さなカフェ。プレイヤーは、バリスタとして常連客や、新しい来訪者たちに温かい飲み物を提供しながら、彼らの人生の一部に立ち合います。

物語には、エルフ、人狼などファンタジー的な種族が登場しますが、彼らから語られる内容は驚くほど”現実的”です。

夢を追う若者の不安、家族との確執、恋人とのすれ違い、仕事の葛藤など--それらが緻密な筆致で描かれます。

このゲームが優れていると感じた点は、そういったテーマに”過度な演出”を施さないこと。ゲームを通じてゆっくりと変化をしていくあたりも、リアリティがあるなと感じました。

プレイヤーは、バリスタという立場で、ただ話を聞き、時に意見を交わし、温かいのみものを差し出します。介入できることは、飲み物を提供すること。(2では、忘れ物や預かり物を渡すことが出来ます)

そのシンプルな行動の中に、他者を受け入れる、受け止める優しさがしっかりと息づいています。

2.ローファイジャズと雨音が織りなす、極上のゲームミュージック

ゲームを起動した瞬間から感じるのは、耳を包みこむようなローファイジャズと、しとしとと降り続ける雨音。

この音楽と、環境音の組み合わせが、『コーヒートーク』という作品に没入感と癒しを与えています。

プレイ中、物語に集中していると音楽はあくまでも控えめに。

一方で、飲み物を調合したり、会話の余韻に浸っているときには、ふとその旋律が心に届いてくる。ゲーム音楽という枠を超えて、生活に寄り添う”空気のような存在”として、ゲームを邪魔しない、非常に計算された音設定がなされています。この音楽が、個人的にはとても好みです◎

心地よい香りの紅茶やコーヒーを手元に用意して、照明を少し落として本作をプレイをすれば、それはまるで自宅がカフェになる、そんな寛ぎのゲーム体験が味わえます。

画像出典・任天堂公式サイト コーヒートーク2より

3.恋、友情、家族、そして自分自身の「ストーリー」


シナリオについて、もう少し掘り下げます。

この作品において描かれる”愛”は、恋愛だけにとどまりません。
例えば、エルフの青年とサキュバスの女性の恋愛事情を通じて、人種や寿命の違いが壁となり、家族にも反対をされ、迷い傷つきながらもお互いを必要とする二人。

また、親子間の不和など、理解しあえないこと、期待を裏切ることとなっても、それでも家族でいたいという想い。このような関係の葛藤が丁寧に描かれています。

そして何より、誰しもが直面する(もしくは過去にしてきただろう)将来への迷い、仕事での悩みなど、繊細な心の揺らぎが、登場人物の言動を通じて、私達にも問いかけてきます。

登場人物たちの言葉を聞いているうちに、ふと、自分の心にも耳を傾けたくなる--『コーヒートーク』はそんな静かな力を持った作品です。

4.「選ばないからこそ伝わる、余白の力」

画像出典・任天堂公式サイト コーヒートーク2より

多くのノベルゲームでは、選択肢によって物語が大きく分岐していきますが、『コーヒートーク』は少し異なります。プレイヤーが提供する飲み物により、キャラクターの反応や結末に変化はありますが、劇的にルートが枝分かれするわけではありません。

それゆえに、物語は余白が生まれてます。誰かの台詞のニュアンス、ふとした表情の変化、わずかな心の機微。それらを読み取ることで、飲み物の選び方にも愛情が込められ、関係性が変わっていくーーそんな小さな手ごたえが余韻となるのです。

本作は選択による『正解』を競うゲームではなく、心の距離感を感じ取っていくゲームで、だからこそふとした言葉が心に響くのだと感じました。自分に似たところのあるキャラクターがいるかも知れませんね。

【平均96.3】コーヒートーク1・2の総合評価


シナリオ・システム・グラフィック・ゲーム性・音楽・キャラクターの6項目について、総合評価グラフを掲載します。


ストーリー良し、音楽良し、キャラクターも素晴らしい。システム部分のセーブ、オート機能も備わっていて言うことありません。
繰り返してプレイがしたくなる、長く楽しめるゲームだと思います。

どんな人におすすめ?

  • ドラマチックではなない”日常”を丁寧に描いた作品が好きな人
  • 静かな音楽と夜の空気に癒されたい人
  • 短時間のプレイを楽しみたい人


この作品は、心を静かに整えてくれる一冊の本のようなもの。

日々の忙しさの中で、少しだけ立ち止まり、自分自身や他者とのつながりに目を向けたいときに、そっと寄り添ってくれるゲームです。

コーヒートーク1はswitchにて体験版があるので、気になる方は是非、お試しください。

今後の展開(2025年 コーヒートークトーキョー発売予定)

映像出典:Chorus Worldwide Games公式チャンネル

発売日はまだ未定ですが、2025年に今度は東京を舞台とした続編が発売とのことで、楽しみにしています。今後の展開に期待です。

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