「レイジングループ」は、人狼ゲームとホラーが融合した、怒涛の展開が続き疾走感溢れるノベルゲームです。人狼はともかく、ホラーなのに疾走感??と、不思議に思うかも知れませんが、最後までその勢いは衰えないままプレイヤーをエンディングまで導きます。
今回は、そんなレイジングループの魅力について前半はネタバレなしで詳しく紹介します。
以下は、個人の感想となりますので、ご了承ください。購入を検討するにあたり、少しでもご参考になれば幸いです。
レイジングループ・概要
「レイジングループ」の舞台は現代。主人公、房石陽明(ふさいしはるあき)がツーリング中に迷い込んだ、人里離れた集落−休水(やすみず)−では、濃い霧の出現とともに、とある儀式が行われる。
その儀式とは、村人のなかから狼役と人間役等に役割が割当られて、狼は一晩に一人、必ず人間を文字通り殺さないといけない。
一体誰が狼なのかを推理する、黄泉忌の宴では、村人たちの中から怪しいと思った人物を挙げ、決められた人物は死ななければならないという、理不尽で狂気に満ちた殺人儀式—それが休水に伝わる因習だった。村人ではない主人公も黄泉忌の宴に参加を余儀なくされる。
死に戻りを繰り返し、それらの記憶を保持した主人公が辿り着く数々の物語。果たして彼は謎を解き、無事に村を脱出することが出来るのか?
なお、PS4・switch等幅広く展開されていますが、尺の長いノベルゲームなので個人的にはswitchがおすすめ。
PS4もPS5・PSポータブルを使用すると、携帯が出来るのでお持ちの方はオススメします。遅延は気にならなかったです。
レイジングループ・PV
ゲーム/イラストの雰囲気はこういった感じです。
最初なかなか馴染まないイラストのテイストだったので、敬遠していたのが悔やまれるくらい面白いです。
レイジングループの魅力
1.人狼ゲームならではの臨場感と、飽きさせないストーリー展開
プレイヤーは房石陽明として、人狼ゲームに参加します。房石陽明は、頭の回転が速く、弁の立つキャラクターなので、周りとのやりとりに胃が痛くなったり、その観察力に成程と感心したり、シンプルに読み物として時間を忘れてしまうくらい面白いです。ゲームオーバーになっても次が気になって仕方ない……!
フォーカスされるキャラクターも宴ごとに入れ替わり、それぞれに見せ場が用意されているのがいいですね。一つの物語が終わりを迎えると、今度は前回とは別の設定で物語がスタートし、宴が行われるので、金太郎飴な展開はなく、プレイヤーを飽きさせない工夫が随所にされています。
2.ゲームシステムが充実していて周回プレイしやすい
本作の設定上、真相に辿り着くまでは周回プレイが必須なのですが、基本的なオートやスキップ機能等だけではなく、フローチャートからジャンプしたり、ヒント機能が充実しているので、プレイしていて「今どこにいるんだろう?」「次は何が必要?」と迷子になってしまう事がありませんでした。
画像出展:任天堂公式サイト
また、クリア後は、キャラクターの心の声がわかる「暴露モード」でプレイが出来るなどオマケも充実しています。この時、このキャラクターはこんな風に思ってたんだな~と知ることが出来て、ストーリーに深みが出ました。
番外編では本編の後の彼らの様子を知ることが出来たのも良かったです。こうした操作性の良さもあって、最後まで「レイジングループ」を余すことなく堪能出来ます。
気になるところ
- 登場人物に癖があるので、合うか合わないかで評価が分かれる
- ぼんやりとですが、時折残酷描写が入るのでそうした描写が苦手な人は注意
- 真相ルートで一部置いてきぼりなところがある
主人公はじめ、登場するキャラクターそれぞれ一癖二癖のある人物ばかり。だからこそ面白いのですが、受け入れられるかどうかは人によるかと思います。
繰り返しになりますが、イラストも今風ではないので好みがあるとは思うものの、和風ホラーにはマッチしていると思いますし、少しでも本作が気になるという方は是非チャレンジしていただきたい…!
【平均・89.5 評価A】レーダーチャート
ストーリーの独自性、周回プレイへの配慮、クリア後のオマケ要素の充実等からシステム・ゲーム性は高得点。プレイを進めていくのにストレスが無く、終始ストーリーに集中出来ました。
【総評】どんな人におすすめ?・おすすめしない?
おすすめな方
- 死に戻りの設定が気になる
- 人狼ゲームに触れてみたい
- 謎解きが好き、何なら上手に騙されたい
- 登場人物それぞれにドラマがあるストーリーが好き
おすすめしない方
- 少しでも残酷表現があると気になる
- 全てに整合性が取れないと納得できない
- 長時間のプレイは疲れるという方
本作は選択肢によってエンディングが変わるマルチエンド方式で、一つのエンドを見るごとに新しい話が開放されていきます。作中で弟切草のタイトルが挙がったのですがまさにあんな感じ。オマージュされている部分があるのかな。
タイトル通り、何度も死に戻り、ストーリーの軸となる「鍵」を手に入れないと先には進めない、ゲームならではの設定が面白かった!
総評として、「レイジングループ」は独特なゲーム性やストーリー展開、魅力的なキャラクターなど、多くの魅力を持ったノベルゲームで、人狼ゲームやホラーゲームが好きな方はもちろん、普段はノベルゲームはしない方にもおすすめです。
レイジングループの感想(※ネタバレあり)
画像出展:任天堂公式サイト
ネタバレあり。いつかまた仏舎利ロックを!
上でも書きましたが、このゲームに登場するキャラクターは皆濃いですね!蜂蜜を焦がしたような濃さでした。
特に主人公の房石・・・というか本名は何なんだろう?元カノの認識も「房石陽明」だったことに驚いた。
交際相手にどれだけ心許してないんだ・・・それは別れるよ。そもそも、どういう経緯であの2人が付き合う事になったのか気になる。
さて、今回レビューを書くにあたり、3年ぶりくらいにプレイしたんですね。誰が黒幕だったのかなど大筋は覚えていたのですが、忘れてしまっていたことも結構あったので、暴露モードでプレイしました。このシステム本当にいい。
再プレイして改めて思ったのですが、房石陽明のサイコパスみに痺れる!主人公が好きになれるかどうかで評価が分かれる作品でしょうね。私は結構、いやかなり好きです。
房石陽明と千枝実ちゃんとの丁丁発止の掛け合い、ふたりとも楽しそう。頭の回転が速いんでしょうね。番外編でも仲良く?過ごしているみたいでほっとしました。ボニー&クライドみたいに、いやトムとジェリーのように喧嘩しながら仲良く過ごして欲しい。
春ちゃんは思春期を拗らせていて可愛かったです。モッチーは春ちゃんの事情を知っているので、生きづらさを軽減してくれそうな相手ですね。春ちゃんの祖父の巻島氏もなんだかんだでモッチーの良さをわかっているから、上手くいくといいな。頑張れモッチー!
能里さん。仏舎利ロックのくだりで、この人のこと大好きになった!最初はいけすかない人なのかと思ったのですが、基本的に根っこの部分でいい人でした。李花子さんの今後も面倒を見てくれるみたいだし、一途で情が深く優しい人なのでしょう。意外にも包容力のある大人な能里さんものほうが、きっと幸せになれるとも思ったり。
まあそんな李花子さん、彼女の生い立ちも考慮しないととは思うのですが……えげつないループに巻き込んだ千枝実ちゃんには謝ったほうがいい。彼女はとばっちりで、幼馴染やご近所さん達と殺し合いを何度も何度もし続けた訳ですよ。それに比べたら偽名を使われたことくらい大した事はないよ。それでも彼女は嫌いになれない。ある意味、被害者側でもあるわけですしね。過去を捨てて、能里さんと幸せに。大事なことだから二回言うけど、彼はいい男だよ!
番外編では、康長くんと馬宮さんのストーリーが好き。知的メガネ萌えなのもあり、家族や友達思いで、努力家な彼を応援していました。考古学、頑張って欲しい。馬宮さんとは良いパートナーになれそうでいて、師弟関係とも取れる友愛的な終わりにも和みました。
そうそう、あの人の事にも触れねば。あのジジイ、失礼、狼じじぃがまさかの大量殺人犯だったとは。生きている人間が一番怖いとはよく言ったものですね。駐在所に行った時に殺人事件の話題が出て、その伏線が回収されましたね。お見事。
……とそれを言うのなら、真相ルートで明らかになった企みや、穢れの正体やら、既得権益を得るためだったのかー!!麻酔を仕込むとか、割と地味で現実的なトリックですね。
めーたん。彼女は作中で死なない唯一の人物だったので、キーパーソンなんだろうなとは思ったのですが、え、クモはめーたんが食べて終わり??特殊能力なんでしょうけど、もっと早くこれ出来なかった?…この点がレイジングループでモヤっとしたところでした。ラスト、置いてきぼりになったのは自分の理解力の問題かも知れません。
めーたんは別の作品の登場人物とのことなので、時間が出来たらそちらもプレイしてみたいです。
終盤の展開にやや強引なところを感じつつも、なんと、120万文字!の大作を最後まで読み切って思ったのは、レイジングループをプレイしていて良かったな、と。
特に、真相ルートで陽明が神様に扮し、いやカミサマになって村人たち一人ずつ語りかけるところは感動しました。そうだよね、ループしてキャラの弱さや抱えているものを見てきたもんね。因習から村人たちを開放したのだから、それはもう、その瞬間は間違いなくカミサマだったね。
人狼ゲーム部分はとてもスリリングで(※トイレで一夜過ごすあたり)、キャラクターの心理描写は丁寧かつ、みんな何かしら抱えていて、どんでん返しではそうきたかーー!と唸りました 。爽やかなラストだったのも良かった。ホラー、ミステリー、恋愛、色々な要素の入り混じった作品で一気に駆け抜けました。
いつかまた、仏舎利ロックを聴きたい。
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